国会「好・珍質問主意書」

本ブログは、衆参両院に提出された質問主意書と答弁書の中から、「これは」というものを、独断と偏見で選び、面白がる目的で設立しました。

「質問主意書の答弁書作成等に関する質問主意書」民主・長妻昭君(衆)

 またまた、民主党(当時)の長妻昭代議士による過去の珍質問主意書です。いや、過去の質問主意書でここまで面白いものを発掘させていただけるあたり、もう好質問としてもいい気すらしてきます。ラジオ番組のハガキ職人的なアレだと思います。

 今回ご紹介するのは、平成20年、麻生内閣の頃に提出された、「質問主意書答弁書作成等に関する質問主意書」です。パラドックス的な臭いがして素敵です。

 大意としては、

役人って、サビ残サービス残業)して答弁書作ってるの?残業代出せよ。つか答弁書でてくるのが速くなったけど、手抜きが目に余る。これサビ残のせいじゃね?以上、質問を束ねずに答えろ

 なんというか、労働者の劣悪な雇用環境が、サービスに跳ね返ってきていることに異議を申し立てる、いい消費者ですね。おそらく、7割がたは合っていると思います。本ブログでは今後、長妻代議士に敬意を表し、「長妻先生」と呼称することにします

 今回は一問一答形式にします。右紹介する。

質問主意書の答弁書作成等に関する質問主意書

衆議院議員長妻昭君提出質問主意書の答弁書作成等に関する質問に対する答弁書

 一 質問主意書答弁書作成は、残業になった場合でも残業代を支払わない、いわゆるサービス残業で作業がなされているのか。
 そうだとすれば、残業代を支払うべきと考えるがいかがか。

四 野党やマスコミからの資料要求に関しても、サービス残業で作成する場合があるのか否か、お答え願いたい。
五 仮に野党やマスコミの資料要求対応がサービス残業でなされる場合、官僚サイドは資料要求に真面目に応えようという意欲が減退して、国民の知る権利も侵されかねない。残業代をきちんと支払うべきと考えるがいかがか。
 国家公務員に残業代を支払わない場合、どのような法令に違反するのか。お示し願いたい。

 

一、四及び五について

 国家公務員の超過勤務は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合において、正規の勤務時間以外の時間において勤務することを命ぜられたとき、この命令(以下「超過勤務命令」という。)に従って行われるものであり、超過勤務命令に従い勤務した時間に対しては、超過勤務手当が支給されることとなっている。
 質問主意書答弁書作成及び野党やマスコミからの資料要求への対応について、各府省に確認した限りにおいては、超過勤務命令に従い勤務しているにもかかわらず、それに対する超過勤務手当が支給されていない事例はなかった。
 なお、超過勤務命令に従い勤務した時間に対して、超過勤務手当を支払わなかった場合には、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第十六条の規定等に違反することとなる。

 

「束ねずに答えろ」と断っているのにもかかわらず、いきなり束ねているのがいいですね。「サービス残業なんかありませんよ」と、人事院の役人がサビ残しながら答弁書を作成しているところを想像すると、限りなく笑えます。ああ、ブラック大国日本。

 

二 最近の質問主意書答弁書は、手抜き答弁が目に余るが、平成一五年時点と比較して、答弁書作成のルールが変わったのか。変わったとすればその内容を詳細にお示し願いたい。
三 平成一五年時点では、多くの答弁書で期限延長がなされ、丁寧に答弁書作成がなされていたが、なぜ、最近は期限を延長した上で丁寧な答弁書作成がなされないのか。

 

二及び三について

 政府としては、従来より、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)の規定等に従い、質問主意書に対する答弁をしてきたところであるが、平成十六年八月及び平成十八年六月の衆議院議院運営委員会理事会における質問主意書制度に関する合意がなされて以降は、当該合意も踏まえて答弁をしているところである。

 

 まあこの質問は、言いたいことはわかるものの、どう考えても満足いく回答は出てこないでしょう。

 六は面白くないので端折ります。

七 官房長官発言の「サービス残業」とはどのような意味か。
八 官房長官発言の「しかも、エリートでない官僚のことで」とはどのような意味か。エリートでないとは、いわゆるノンキャリアを指すのか。

七及び八について

 御指摘の内閣官房長官の発言については、平成十七年当時のものであり、また、会議録上これらの発言の直後の発言も明らかでないことから、その意味を現時点において確認することは困難である。

 

「そんな昔のことは知らん」と、ケンモホロロですね。当時の官房長官安倍晋三現総理なので、遅くとも第一次安倍内閣の頃に出しておくべきでした。

 

 ちなみに、「平成十六年八月及び平成十八年六月の衆議院議院運営委員会理事会における質問主意書制度に関する合意」は、長妻先生が質問主意書を提出し過ぎたのも原因なようですが、名作も発表しているので、いいと思います。