国会「好・珍質問主意書」

本ブログは、衆参両院に提出された質問主意書と答弁書の中から、「これは」というものを、独断と偏見で選び、面白がる目的で設立しました。

「日本の首都に関する質問主意書」立民・逢坂誠二君(衆)

 この質問は、立憲民主党逢坂誠二代議士(北海道8区)によって主意書が提出されたときから楽しみにしていたのですが、今日答弁書が公表されました。

 日本の首都はどこか?

 常識的に考えれば、もちろん東京です。しかし、世の中にはそれに異を唱える勢力が存在します。そう、「首都」という意味の一般名詞を地名にしてしまった、京都。 

    中国に住んでいた頃、

「日本の京都では……」

「京都とは日本の首都なりや」

「さにあらず、日本の首都は東京なり」

「京都これすなわち首都にあらずや」

「しからず。日本には京都と称すところの地名これあり」

といった、トンチンカンな会話をしたことがあります。よって、

遷都令が出ていないから、帝は東へ行幸

京都は御所で、東京にあるのは住んでいるだけを意味する皇居、よって京都の方が上

 という解釈から、「早稲田は都の東北」と主張する過激派もいます。

 天覧試合で長嶋茂雄サヨナラホームランを打たれた村山実が、「あれはファールや」と言い続けたのにも似た、一種の意地のようなものかもしれません。

 ついにこの論争に決着がついてしまうのか。右紹介する。

日本の首都に関する質問主意書

日本の首都は東京都であるとほとんどの国民に解されているが、現在、その法的根拠はないと考える。
 日本の首都が東京であると解されていることは、「首都建設法」(昭和二十五年法律第二百十九号)が東京都を首都と規定していたためであろう。首都建設法第一条では、「この法律は、東京都を新しく我が平和国家の首都として十分にその政治、経済、文化等についての機能を発揮し得るよう計画し、建設することを目的とする」と示されていたものの、同法は昭和三十一年に廃止された。
 首都建設法を引き継いだ首都圏整備法第二条では、「この法律で「首都圏」とは、東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域をいう」と示されているものの、明示的にどこが日本の首都であるかは示されていない。
 二〇二〇年に東京オリンピックを迎えるにあたり、日本の国内法で日本の首都が東京であることを明示的に規定されていないことは、いささか不都合であるとも思われる。
 このような観点から、以下質問する。
一 現行の法令で、日本の首都は東京都であると規定したものはあるのか。
二 日本の首都は東京都であるとほとんどの国民に解されているが、現在、その法的根拠はないという理解でよいか。
三 日本の首都は東京都であるとほとんどの国民に解されていることは、法的な根拠に基づかないものの、ただ何となくそうなんだろうというような認識であるに過ぎないという理解でよいか。
四 明治元年七月十七日に明治天皇が発した詔勅である「江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書」では、「朕今萬機ヲ親裁シ億兆ヲ綏撫ス江戸ハ東國第一ノ大鎭四方輻湊ノ地宜シク親臨以テ其政ヲ視ルヘシ因テ自今江戸ヲ稱シテ東京トセン」と示され、この詔勅の中に「今江戸ヲ稱シテ東京トセン」と示され、首都を示す「京」を新たな地名に付したことから、この詔書によって、東京を京都と並び首都とすることが規定されたと解される立場が有力である。その後、関東大震災直後ノ詔書東京都制(昭和十八年)などが存在し、東京が首都であることは明示的に規定されてきた。従って、昭和三十一年以後、法令で規定されていない状態がむしろ空白期間であると言える。首都が東京都であることを法令で規定しないことには何か理由があるのか。政府の見解如何。
五 二〇二〇年に東京オリンピックを迎えるにあたり、政府は、法律で、日本の首都が東京であることを明示的に規定すべきではないか。政府の見解如何。

 右質問する。

  東京を首都と規定している可能性のある法令、よく調べましたね。「首都圏整備法が根拠」説は、仄聞したことがあります。さて、答弁や如何に。

一から五までについて

 首都を東京都であると直接規定した法令はないが、東京都が日本の首都であることは、広く社会一般に受け入れられているものと考えている。

  きたあぁぁぁ!!

法令では決まってないけど、常識的に考えて日本の首都は東京

 以後、「日本の都は京都」という主張は、「平成三十年二月十三日受領答弁第四八号 内閣衆質一九六第四八号」によって粉砕できます

 しかし思えば約150年前、京都市中で暗殺テロを繰り返した挙句、御所蛤御門で兵乱を起こし、さらには帝を東へ連れて行ったのも長州なら、今日公的に首都を東京と答弁したのも長州の安倍内閣とは、何かの因縁を感じます。

 ということで「日本の首都は東京」と、平成三十年二月十三日をもって、再び明らかになりました。「京都」は「京」の字こそ入っているものの、まあ長岡京市のようなものです。

 これは文句なしの好質問と、高く評価します。