国会「好・珍質問主意書」

本ブログは、衆参両院に提出された質問主意書と答弁書の中から、「これは」というものを、独断と偏見で選び、面白がる目的で設立しました。

「元首相の訃報について中核派による不謹慎な動画が公表されたことに関する質問主意書」N国・浜田聡君(参)

 今回は、とうとう出ましたNHKから国民を守る党所属、浜田聡参議院議員(全国比例)による質問主意書です。

 大勲位、海軍ポリティシャンこと中曽根康弘元総理が死去。毎年憲法記念日憲政記念館で開催される改憲集会のたびに、「おお!大勲位が動いている!」と生存を確認していたのですが、昨年は欠席したので、「もしやそろそろか」とは案じていましたが、衝撃。

 「問題です、官僚出身で存命の総理経験者は一人しかいませんが、何省出身でしょうか?答えは、内務省(昭和22年末廃止)でしたー!」というクイズも、もう二度と出題できなくなってしまいました。

 様々な感慨のあった大勲位の死去ですが、大喜びした人々も

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YOUTUBE「前進チャンネル」より

 「極左暴力集団中核派YOUTUBEで公開している「前進チャンネル」で、「中曽根の死を祝って、乾杯~」と、祝杯をあげていました。

 これについて浜田聡参議院議員議員が、

「前進チャンネルについて、政府はどう把握しているの?」

表現の自由とかあると思うけど、この動画どうよ?」

 との質問主意書を提出。思ったことをとりあえず質問するタイプのクソリプですね。

 実は答弁書が出る前からこの質問主意書には個人的に注目しており、勝手に答弁を予想していました

 一については警察庁警備局の「治安の回顧と展望」にも記載があるので、「極左暴力集団中核派による勢力拡大を目的とした宣伝手段と承知。引き続き動向に注視する」といった熱のこもった答弁を警察庁警備局が作ると予想

 二については、「言論の自由」というからみから、内閣府法制局から、「お尋ねの当動画に対する政府の見解について意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である」といった塩答弁にすると、躁鬱じみた味わい深い好答弁になるなと、期待していました

 では、実際の答弁や如何に。質問全文とともに、右紹介する。

元首相の訃報について中核派による不謹慎な動画が公表されたことに関する質問主意書

 「戦後政治の総決算」を掲げ、国鉄の民営化や日米安全保障体制の強化などに取り組んだ、中曽根康弘内閣総理大臣(以下「元首相」という。)が令和元年十一月二十九日、都内の病院で逝去されたという報道があった。謹んで哀悼の意を表します。
 故人の業績について色々な意見があり、賛否両論があることは我が国の民主主義の観点からは望ましいと考えるが、今回の元首相の逝去に際し、看過しがたい動画が目に入ったので、今回質問主意書を提出する。
 動画サイト「YouTube」において、令和元年十一月三十日に「前進チャンネル」なるアカウントにより、元首相の訃報を祝う意図の動画(以下「当動画」という。)が公表された。十二月五日現在、当動画の再生回数は四万回台を数えている。これらの状況を踏まえ、以下質問する。

一 「前進チャンネル」はいわゆる中核派のアカウントであると考えられるが、政府の把握するところを明らかにされたい。

二 表現の自由との兼ね合いもあり、政府としての認識を示すことに困難な点があることを理解した上で問うが、当動画に対する政府の見解を伺いたい。

  右質問する。

 

答弁

一について

 御指摘の「前進チャンネル」は、共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団の一つである革命的共産主義者同盟全国委員会(以下「中核派」という。)が作成したものと承知している。

二について

 政府として、中核派が作成した個々の動画の主張内容について逐一見解を述べることは、今後の警察活動に支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。

   一は普通に「極左暴力集団がやってるやつだよ、知ってるよ」という警察庁警備局による答弁でしたが、二も警察庁が答えていますね。

 「極左暴力集団に関する政府見解は警察の仕事」ということがわかり、とても結構な質問主意書でした。

 

 

 

 

「 反社会的勢力の定義に関する質問主意書」立民・初鹿明博君(衆)

 こちらはやや旧聞となってしまいましたが前第200回国会、「反社会的勢力」の定義をめぐり、立憲民主党初鹿明博代議士(東京16区)より提出された質問主意書

 菅官房長官による「反社会的勢力は様々な場面で使われ、定義は一義的に定まっているわけではないと承知している」という、これには金融機関も苦笑いな身も蓋もない答弁が飛び出したことに関連して、「いや、定義はしたことあるでしょ、他に用例があるなら教えてくれ、定義がないと困ることもあると思うが、定義するとしたらどう定義するの?」という質問。

 初鹿明博代議士はこれまで数多くのクソリプ質問書を生み出し、本ブログとしては、全体的な傾向として「観点が目新しいわけでもなく姿勢も悪意的かつ作り込み度も低い」と見ており、必ずしも高く評価していませんが、この質問は「そうだよなあ」と言わざるを得ません

 「クソリプ質問主意書」といえば、悪意なく友達にリプライを飛ばすノリで質問主意書を提出するのをライフワークにしていた立憲民主党・逢坂(おおさか)誠二代議士は、政調会長になってから忙しいのか、質問主意書を出さなくなってしまいましたね。

 閑話休題、まず、法律で定義できない理由は官房長官による答弁のとおりで、さらに言えば「広くとる」運用の余地を作り出すことにもあり、概念と具体例を「ふんわりと」決める必要があった、というのが前提でしょう。そこで第一次安倍内閣全閣僚が出席する「閣僚会議申し合わせ」という形により「指針」を定めたわけですが、「反社の定義が一義的に定まっているわけではない」という、狭くとる方向でぼやかすのは如何なものでしょうか。

 また、反社排除は広く進められていますが、概念と具体例も政府として「一義的に定まっていない」ものを根拠に、口座開設や就業などの自由を制限することになるのは、ちょっと問題があるではと疑問があります。

 というわけで、右紹介する。

反社会的勢力の定義に関する質問主意書


 政府は平成十九年、犯罪対策閣僚会議の下に設置された暴力団資金源等総合対策ワーキングチームにおける検討を経て、企業が反社会的勢力による被害を防止するための基本的な理念や具体的な対応について、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を取りまとめました。この指針において、「反社会的勢力」とは、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義し、民間企業においても、この定義のもとに反社会的勢力との関係遮断に取り組んできています。
 ところが、菅官房長官は本年十一月二十七日の記者会見の中で、反社会的勢力は様々な場面で使われ、定義は一義的に定まっているわけではないと承知しているとの発言をしました。
 この発言を受けて、以下政府の見解を伺います。

一 政府は上記指針において定義している「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」以外の意味で「反社会的勢力」という単語を用いたことはあるのでしょうか。
二 他の意味で用いたことがあるのであれば、閣僚や政府参考人等の国会答弁、各種施策の説明資料を含めて実例を全て明らかにし、どのような意味で用いたのかを説明してください。
三 民間企業は上記指針に基づいて、反社会的勢力との関係の遮断や不当な要求等への対応を行ってきたと承知しています。しかし、異なる定義があるとすると対応方針を変更する必要が生じかねません。政府として、改めて「反社会的勢力」とは何かを定義付ける必要があると考えますが、いかがでしょうか。
四 また、定義付ける場合、どのような定義となるのか具体的に示してください。

 右質問する。

 初鹿代議士には珍しく、質問内容と意図が明らかな構成ですね。

 はい、答弁を見てみましょう。

 

一から四までについて

 政府としては、「反社会的勢力」については、その形態が多様であり、また、その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであることから、あらかじめ限定的、かつ、統一的に定義することは困難であると考えている。また、政府が過去に行った国会答弁、政府が過去に作成した各種説明資料等における「反社会的勢力」との用語の使用の全ての実例やそれらのそれぞれの意味について網羅的に確認することは困難である。
 なお、御指摘の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成十九年六月十九日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)は、暴力団の不透明化や資金獲得活動の巧妙化が進む中で、民間企業が「暴力団を始めとする反社会的勢力」との関係を遮断し、これらによる被害を防止することができるようにする観点から、そのための基本的な理念や具体的な対応について取りまとめたものである。現在、民間企業においては、当該指針を踏まえた上で、「暴力団を始めとする反社会的勢力」との関係の遮断のための取組を着実に進めている実態があるものと承知している。

  束ねて答弁していますが、あえて2つにバラすと、

問:「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」以外の定義はあるのか?あるなら教えて下さい。
答:色々確認するのは大変なのでお答えできません。

問:定義がないと民間企業も困るのでは?定義するとしたらどう定義しますか?

答:反社はその時々で形態が多様なので、あらかじめ定義することは困難。民間企業は「基本的な理念や具体的な対応について取りまとめた」「当該指針」にもとづいて取り組んでいると承知。

 と、いうことになりますが、「基本的な理念や具体的な対応について取りまとめた」指針って、やっぱ「定義」じゃないのか?閣僚会議で取り決めた「指針」が「政府としての定義」でなかったら、一体なんなんだ?「こんなものよく閣議決定したな」と、かなり驚きました。平成三十一年度珍答弁グランプリとして差し支えないでしょう。

 なお、この答弁書を受けて、本国会(第201回)において立憲民主党・櫻井周君(兵庫6区)より、「政府が法解釈にかかわる言葉の定義をコロコロ変えるのは社会に悪影響があると思うがどうか」との趣旨の質問主意書が提出されています。

政府が「定義を定めることは困難」と答弁することに関する質問主意書

 答弁書の該当部分答弁はこちら。

 御指摘の答弁書(令和元年十二月十日内閣衆質二〇〇第一一二号)一から四までについては、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成十九年六月十九日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)の内容を何ら否定するものではなく、従来の政府の見解を変更しているものではない。すなわち、御指摘のような「言葉の定義を突如として変更する」というものではない。

  つまり、指針にある「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」との「従来の政府の見解」を変更しているものではないので、言葉の定義は変更していない、とのことですが、じゃあ反社の定義として、少なくとも「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」は含まれるんじゃないのか?と、突っ込まざるを得ない、また訳のわからない答弁書が繰り出されました。

 「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を否定すると反社排除の取り組みが崩壊するので絶対に否定できない、むしろ有効であると積極的に示さざるを得ず、しかし一方で「一義的に定義できない」で通さなければいけない、というルールで答弁を作らされていると思いますが、これは無理ゲーですね

 意味不明な答弁書がどんどん積み上がっていますが、もちろん閣議決定は政府公式見解なので、日本政府がある限り永遠に前例として残ると思うと、胸が熱くなりますね。

 

 

 

 

「検察の捜査を受けている者がマスメディアに向けて発言することによって捜査への支障をきたすかどうかに関する質問主意書」立民・櫻井周君

 更新がしばらく止まっておりましたが、以前は「思いつきのようなアホな質問」が多かったのに対して、最近は「政府或いは与党議員の答弁が意味不明」という例が増えてきたかのように感じています。

 今回紹介するのは、「公職選挙法違反や収賄容疑で捜査を受けている議員が「刑事事件という性質上、捜査に支障をきたしてはならない」と答弁して何も説明しないけど、操作に支障をきたすような発言ってなんだよ」という、立憲民主党の櫻井周代議士による質問。

 これ、「支障をきたすかどうかは捜査機関が決めることだろ、なんで被疑者が判断してるんだ、公職にある者として説明責任というものがあるだろ」と、私も素朴に疑問を感じていました。

 「素朴な疑問」ですが、「まあ聞きたくなるよね」という質問ということで、右紹介する。

検察の捜査を受けている者がマスメディアに向けて発言することによって捜査への支障をきたすかどうかに関する質問主意書

 昨年の秋以降、国会議員が検察に告発されたり、検察の捜査を受ける事態が相次いでいる。国会議員は国民の負託を受けて国政を預かっているのであるから、国民に対する説明責任を果たしていかなければならない。
 しかし、検察の捜査を受けている国会議員が、「刑事事件という性質上、捜査に支障をきたしてはならない」と述べ、かけられた疑惑について説明しない事例が相次いでいる。
 そこで、以下質問する。

一 検察に告発されたり、検察の捜査を受けている国会議員がマスメディアに向けて発言することで捜査に支障をきたすことがありえるのか。
二 捜査に支障をきたすことがありえるとすれば、具体的にどのような発言が、どのように支障をきたすのか。

 右質問する。

 

 疑問はもっともなものの……。答弁はこちらです。

一及び二について お尋ねは、具体的な事例における捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、お答えすることは差し控えたい。

 「なめとんか」と感じる人もいるでしょうが、捜査機関からすれば「被疑者が勝手に言っていること」であって「知らんがな」という話であり、また、常識的に考えて、捜査機関に「あなたを困らせるような発言について教えて下さい」と質問したところで「お答え」できるわけもないですね。

 内閣は国会議員に対して監督責任を負っているわけでもないので、被疑者本人に聞くべき質問、というところでしょうか。

官庁ノンキ節

www.youtube.com

財務官僚は偉いもんじゃそうな
偉いから何でも決めれるそうな
決めれば政治家は無邪気なもので
それもそうかと思うげな
ア呑気ダネ

ベンチャーというペテン師の幻燈など見せて
経済産業省の役人が
規制を緩和すりゃ皆このとおり
成功するんだと怪気炎
ア呑気ダネ

貧乏でこそあれ日本人は偉い
それに第一先進国だ
人手が足りなくても賃金下がる
外人を追い出す法務省
ア呑気ダネ

空母浮かべようがトマホーク持とうが
憲法変えなきゃやっぱり軍じゃない
軍じゃない軍じゃないその自衛隊
さも国軍みたいな顔をする
ア呑気ダネ

辞めた文科官僚はお情け深うて
貧乏人を調べるのもお好きなら
若い女性もお好きじゃそうな
ほんに結構なお道楽
ア呑気ダネ

先進国のインフラが途上国のように
鉄道は廃線首都高オンボロ
強靭化に熱心な国交省
老朽化じゃ仕方がないさで済ましてる
ア呑気ダネ

うんと搾り取って泣かせておいて
目薬ほど出すのを福祉と申すげな
なるほど厚労省は福祉をするが
財源は見ぬふり知らぬふり
ア呑気ダネ

地方行政の権限は副知事しかないが
電波通信は総務省主管
自治省だ内務だ日本一だ
地方創生だ分権だ
ア呑気ダネ

膨張する膨張する不安が膨張する
テロの脅威が膨張する
警備公安が膨張する
警察権力が膨張する
ア呑気ダネ

生存競争の国際社会
アジアの隅っこに島国ひとつ
外務省が広げた大風呂敷も
ひいた札次第で逆戻り
ア呑気ダネ

食料自給率を向上させましょう
農産物を海外へ輸出しましょう
種は外国から買いましょう
農水政策なかなかうまいでしょ
ア呑気ダネ

政治利用は御免でおじゃる
お上がお疲れなら御隠居でおじゃる
殿下が惚れたなら婚約でおじゃる
おじゃるおじゃるで破談でおじゃる
ア呑気ダネ

環境はどうした(突然キテレツ大百科

「北朝鮮のスリーパーセルの活動に関する質問主意書」立民・逢坂誠二君(衆)

 先日、三浦瑠麗氏の「北朝鮮スリーパーセル大阪潜入発言」が物議を醸しました。大阪には一般人を装った北朝鮮の破壊工作員が多数潜伏している、というような、まあ普通に考えてちょっとまずい発言だったわけですが、なにがまずいかといえば、「本当にそうなんじゃないか」という恐怖心を煽ってしまうところですよね。

 どうでもいいですが、三浦氏(下写真、本人Twitterより)の雰囲気、

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 見るたびに、メジャーリーガー級のテロリストであるところの日本赤軍の最高指導者、重信(本名:奥平)房子服役囚の若いころを連想してしまいます。

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 まあ、「だからなんだ」と言われても「美人ですね」くらいしかありませんが。

 本題に戻りましょう。

 おなじみ、立憲民主党逢坂誠二(北海道8区)が、「これほんと?」という質問主意書を提出、答弁書が公表されました。まあ、この手の質問は基本的に公開すると我が方の手札を見せるようなものなので回答を得るのは難しいところですが、興味深い質問ではあります。右紹介する。

北朝鮮のスリーパーセルの活動に関する質問主意書


 平成三十年二月十一日、フジテレビの「ワイドナショー」に出演した東京大学に所属する国際政治学者は、米国と北朝鮮の間で戦争が起きた場合、金正恩が殺されたとしても「スリーパーセル」という組織が活動すると指摘した。
 スリーパーセルとは一般市民を装って潜伏している北朝鮮工作員を指し、国際政治学者は、「ソウル、東京、大阪に潜んでいます。いま大阪がヤバいといわれる。首都よりほかの大都市が狙われる可能性がある」と発言した。日本に北朝鮮の暗殺部隊が潜んでいるという情報は、ネット上で議論になり、大阪に在住する韓国籍の住民をスパイ呼ばわりして憎悪を扇動したなどと非難が多くなされた。
 元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓殖大客員研究員の高永喆氏は、「スリーパーセルは直訳すると「潜伏細胞」。日本には二百人くらい潜伏している可能性があります。年齢は四十~五十代が中心で女性は一、二割ほど。ただし、(その国際政治学者)が言うような暗殺専門ではありません。有事になり、本国からの指令を受けると本格的な活動を開始。「自衛隊が一般市民を傷つけた」といった流言飛語を流したりします。特殊部隊が上陸する際は護衛役、案内役などの三人グループで手引きを担当。指令は北朝鮮から届くラジオ短波放送に数字が隠されていて乱数表で解読します」と述べるとともに、スリーパーセルは武器を所持し、金正男暗殺に使った毒ガスのほかサイレンサー付きの拳銃、ライフル銃を隠している可能性が高いと指摘している。
 このような指摘は必ずしも即座に否定されるべきものではなく、我が国の安全保障上の観点、さらには国民的な不安と関心から、北朝鮮スリーパーセルに関する情報収集と行動の把握は、喫緊の課題であると考えられる。他方、地上波のメディアで、正確な根拠を示さず東京大学に所属する研究者が「いま大阪がヤバいといわれる。首都よりほかの大都市が狙われる可能性がある」と発言したことは、ヘイトスピーチも含めた議論の発端になっており、多くの国民に北朝鮮に対する不安を増大させている。
 このような事実を踏まえ、以下質問する。

 ご指摘のとおり、北朝鮮工作員の脅威は「必ずしも即座に否定されるべきものではない」のが困りものですね。ドイツなどの欧州諸国では移民による破壊活動を報じると「ヘイト」扱いされるので信頼できる情報が発信されず、それこそネットの真実なんだかフェイクニュースなんだかの境界線が曖昧になるという問題が発生しているので、「論じるべからず」は悪手だと思います。では、質問と答弁本文に移りましょう。

一 我が国に、いわゆる北朝鮮の「スリーパーセル」と呼称される工作員が存在し、潜伏していると政府は考えているのか。政府の見解如何。
二 一に関連して、いわゆるスリーパーセルの実数はどの程度であると推定しているのか。

三 政府は、北朝鮮の行う破壊活動に関して、「いま大阪がヤバいといわれる。首都よりほかの大都市が狙われる可能性がある」との認識を共有するのか。また日本国内の特定の地域について、重点的に破壊活動を抑止する対策を講じているのか。政府の見解如何。

五 北朝鮮金正恩が暗殺あるいは政治的に失脚した場合、北朝鮮の政治的混乱に乗じていわゆるスリーパーセルと呼称される工作員が我が国で破壊活動を行うことは否定できない。かかる事案に関して、我が国に潜伏する北朝鮮工作員への対策は存在しているのか。政府の見解如何。
六 公安調査庁は、「内外情勢の回顧と展望」(平成二十九年一月)において、「朝鮮総聯は、我が国の対北朝鮮措置の影響などを受けた厳しい情勢に危機感を強めており、許宗萬議長を中心とする指導体制を一層強化し、組織の引締めを図っていくとみられる。また、引き続き、基層組織の活性化を通じて組織力の底上げを図るべく、中央幹部を積極的に派遣するなどして地方組織に対する指導を強めていくとみられる」と示しているが、高永喆氏が指摘する「スリーパーセルは直訳すると「潜伏細胞」。日本には二百人くらい潜伏している」、「有事になり、本国からの指令を受けると本格的な活動を開始。「自衛隊が一般市民を傷つけた」といった流言飛語を流したり」する者についての記述はない。政府内で、高永喆氏が指摘する「潜伏細胞」について把握し、適切に国民に情報提供を行い、不安の解消を図るための部署は存在しているのか。政府の見解如何。

 

 

一から三まで、五及び六について

お尋ねの「いわゆる北朝鮮の「スリーパーセル」と呼称される工作員」及び「破壊活動」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、北朝鮮工作員について、我が国に存在するか否かを含めその動向に関する情報収集を行っているところ、その収集した具体的な内容に係るお尋ねについては、これを明らかにすることにより、今後の情報収集活動等に支障を及ぼすおそれがあるため、お答えを差し控えたい。

 政府としては、北朝鮮工作員による様々な活動を想定し、関係機関が連携して、国民の生命、身体及び財産を守るために必要な対策を進めているところである。

 

  逢坂代議士、例によって「スリーパーセル」の定義を質問項目に入れていませんが、考えてみると工作員が「一般市民を装って潜伏」しているのは当たり前なので、前文部分での定義も不十分だった感があります。

四 朝鮮籍もしくは朝鮮籍と推定される者について、これまで日本国内で、小銃、迫撃砲などの武器を押収したことはあるのか。

 

 四についてお尋ねの「朝鮮籍もしくは朝鮮籍と推定される者について・・・武器を押収した」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

 

  これ、「阪神大震災後に北朝鮮工作員のものと思われる迫撃砲が発見された」という話がデマかどうかという、わりと大事な話ですが、「具体的に何を聞いてるのかわからん」とされていますね。

 問題点を考えてみましたが、まず国語的に、「朝鮮籍もしくは朝鮮籍と推定される者について」ではなく、「~者から」でなくてはならないのでは。

 また、「朝鮮籍」はいいとして、「朝鮮籍と推定される者」ってなんなんですかね。所有者を誰だか特定できていないものを「たぶん朝鮮人だと思う」は問題になるでしょう。例えば、漂流漁船の場合は特定は困難な場合が多く、かつ推定しても差支えはないでしょうが。

 加えて、「朝鮮籍」とすると、「在日朝鮮人を銃刀法違反で検挙した件数ということか?質問の意図としてたぶんそうじゃないと思うし、その数字を公表したら絶対誤解招くよな?」という判断もあるのでしょう。

 とはいえ、「工作員」という枠に絞った場合、束ね答弁ルートになる可能性もあるのでしょうか。阪神大震災のときの案件を出すべきだったのかも知れません。

内務3兄弟

知事も出してた内務
3つならんで内務
解体されても内務
内務3兄弟

一番上は警察(警保)
一番下は国交(土木)
間に挟まれ総務(地方)
内務3兄弟

官僚統治の警察
運輸と合併国交
自治省がいちばん総務
内務3兄弟

今度行革するときも
役所の中心同じ枠
できれば今度は外局の
たくさんついた大所帯 内務

ある日兄弟げんか けんか
道路のことでけんか けんか
すきまのあいた内務 内務
でも、すぐに仲直り

国会空転で ひるね ひるね
3人そろって ひるね ひるね
うっかり寝過ごし予算編成
削られちゃいました

長官ポストは内務
次官ポストも内務
部長ポストも内務
内務3兄弟

内務 内務 内務 内務
内務3兄弟 内務3兄弟 内務3兄弟
内務!

 

厚生省は……内務省解体時点で既に分離されていたので、まあいいでしょう。

「JR総連系労組への浸透が指摘され続けている革マル派の現状と実態に関する質問主意書」民進・川合孝典君(参)

 労働組合=左翼の隠れ蓑、という偏見を抱いている人は世に少なくないと思います。

 民進党川合孝典参議院議員比例区)より、「JR総連系労組にはテロリストである革マル派が浸透している、取り締まるべし」という質問主意書が提出されました。

 川合孝典議員は「連合」に加盟している労組、UIゼンセン同盟の政治局政治委員会事務局長です。簡単に言って、「連合」のなかでも「同盟」系は右派、「自治労」「総評」系は左派なのですが、要は連合の右派から「JR総連にアカが浸透しているから対策しろ」と政府に求めるという、向こうからすれば「おのれスト破りの御用組合め」という事案です。

 構図だけでも十分面白いので、右紹介する。

JR総連系労組への浸透が指摘され続けている革マル派の現状と実態に関する質問主意書

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/196/syuh/s196020.htm

 政府が「共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団」と認定している革マル派の動向について、警察庁警備局は「治安の回顧と展望」(平成二十九年版)において「革マル派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道労働組合(以下「JR東労組」という。)は、六月にそれぞれ労組結成三十年の記念大会を開催し、労組結成から現在までの三十年を振り返り、「いつでもたたかえる組織」の堅持を掲げるなど、引き続き、革マル派創設時の副議長である松嵜明元JR東労組会長(故人)が提唱した労働運動理論の継承を傘下組合員に対して呼び掛けた。」と記述して注意喚起を行っている。
 実際に、革マル派の指導者であった松嵜明氏の労働運動理論を継承するべく、その著書集が編纂され、JR東労組にとどまらず、JR総連傘下の北海道旅客鉄道労働組合(以下「JR北海道労組」という。)においても、これらを利用した学習会などが開催されていることは、当該労組の機関紙などで自ら明らかにしている。
 また菅義偉官房長官は、平成二十九年二月二十六日の読売新聞北海道版のインタビュー記事において「北海道では過去に色んな事故が起きた。ああいう組合を持っているのはJR北海道だけでしょ」と述べているが、これは菅官房長官JR北海道の安全運行と経営にJR北海道労組が悪影響を及ぼしている、との認識を示したものと受け止められている。
 さらに平成二十九年四月十八日の産経新聞朝刊には、関係者の証言を基に、JR北海道労組がJR北海道の経営幹部への影響力を行使したことについて懸念する声があるとする記事も掲載されている。
 既にJR北海道労組と革マル派との関係については、平成二十五年十一月二十二日、衆議院国土交通委員会において平沢勝栄衆議院議員に対し、JR北海道労組への革マル派浸透に関して明確な断定は避けたものの「鋭意解明に努めている」との政府答弁がなされている。
 このように革マル派が、JR総連系労組に今なお相当浸透していることを窺わせる様々な事象は、わが国の治安維持、そして二年半後の東京オリンピックパラリンピックを安全に開催するといった観点からも憂慮すべき深刻な問題であると認識している。
 なお昨年来、維持困難路線を公表したJR北海道に対する北海道や国による公的支援の実施を求める動きがある。北海道のインフラを支える路線の維持が極めて重要であることは言うまでもないが、公的支援の前提として、JR北海道労組に革マル派が浸透しているという憂慮すべき実態を解明し、問題を解決することが必要不可欠であると考える。
 政府においては、JRというわが国を代表する公共交通機関労働組合に、今なお過激派・革マル派が浸透している実態を看過することなく、治安維持のための取り組みをさらに強化すべきであると考える。

JR北海道への公的支援が、革マル派を肥え太らせることになってはならない」との強い意志が感じられます。なお、革マル派を「共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団」として政府が認めたのは鳩山由紀夫政権の頃というのも、味わい深くていいですね。

 

一 これまでの捜査過程で解明された革マル派のJR総連系労組への浸透の実態について、政府の把握するところを具体的に明らかにされたい。

二 革マル派がJR総連系労組に浸透を図ろうとしている目的は何か、政府の見解を明らかにされたい。

 

一及び二について

 お尋ねの「JR総連系労組」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)は、共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団であり、将来の共産主義革命に備えるため、その組織拡大に重点を置き、周囲に警戒心を抱かせないよう党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、例えば、全日本鉄道労働組合総連合会及び東日本旅客鉄道労働組合内には、影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透していると認識している。

 

 警察庁警備局、「例えば」まで言及してやる気マンマン、極めて歯切れがいい答弁です。さすが高等公安警察

 

三 JR総連系労組が、松嵜明元JR東労組会長が提唱した労働運動理論の継承を傘下組合員に対して呼び掛けている目的は何か、政府の見解を明らかにされたい。

三について

 お尋ねについては、政府としてお答えする立場にない。

  二においてはちゃんと警察庁警備局が革マルの意図を解説している一方、こちらでは「お答えする立場にない」としているのは、JR東労組自体を「極左暴力集団」としているわけではないから、ということでしょうか。

 

四 JR北海道労組への革マル派の浸透及びJR北海道の経営に対する影響力の行使の実態について、政府における解明状況を具体的に明らかにされたい。

四について

 お尋ねの「JR北海道の経営に対する影響力の行使の実態」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、北海道旅客鉄道労働組合への革マル派の浸透実態については、現在、警察等において鋭意解明に努めているものと承知している。

  この答弁、単に「JR北海道労組への革マル派の浸透及びJR北海道の経営に対する影響力の行使の実態」の一文が主語の明らかではない悪文だから「意味するところが明らかではないため~」となったのでしょうか。

「警察等において」は、「公安警察がやるんだ」との意気込みの感じられるいい答弁ですね。「等」あつかいされた公安調査庁涙目

 

五 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構を介して政府が全株式を保有するJR北海道の経営や人事に対して、JR北海道労組が影響力を強めているとの指摘に対する、政府の見解を明らかにされたい。

五について

 北海道旅客鉄道株式会社からは、同社の経営や人事に対する北海道旅客鉄道労働組合の影響力が強まっているとは聞いていない。

 この部分はなんだか気の抜けたような感じですが、国交省に割り振られたんでしょうかね。

六 JR北海道では、平成二十三年九月には当時社長であった中島尚俊氏が、平成二十六年一月には元社長の坂本眞一氏が相次いで自殺している。JR北海道経営トップの度重なる自殺という異例の事案の背景に何があったのか、政府の見解を明らかにされたい。

六について

 お尋ねについては、政府として承知していない。

  下山事件を彷彿とさせる事件ですが、残念ながら「革マル派による犯行と見ている」という爆弾発言は飛び出しませんでした。