国会「好・珍質問主意書」

本ブログは、衆参両院に提出された質問主意書と答弁書の中から、「これは」というものを、独断と偏見で選び、面白がる目的で設立しました。

(衆)立民・逢坂誠二君「戦士の国家日本の意味に関する質問主意書」

 トランプ大統領が訪日前に発言した「サムライの国、日本」について、「政府として、どういう意味だと思ってるの?」「『サムライの国』は日本の外交方針なの?」「日本の核武装に繋がるの?」というような趣旨の質問主意書が、立憲民主党逢坂誠二衆議院議員から提出されました。

 もはやタイトルだけで面白い、出オチ感のある、いい珍質問です。 私は個人的にこの手の質問を、クソリプ質問主意書と呼んでいます。外務省の役人は、どんな顔をしたことでしょうか。

 以下、全文を引用します。

 

平成二十九年十一月六日提出
質問第一八号

戦士の国家日本の意味に関する質問主意書
提出者  逢坂誠二

 十一月二日、アメリカのトランプ大統領はFOXニュースの番組に出演し、Donald Trump on Thursday warned China that “warrior nation” Japan could take matters into its own hands if the threat posed by North Korea is not addressed.(ドナルド・トランプは、北朝鮮の脅威に対処しなければ、「戦士国家」日本は自国の問題として、自らの手で対処するだろうと中国に警告した)と明らかにした上で、“Japan is a warrior nation, and I tell China and I tell everyone else that listens, I mean, you're gonna have yourself a big problem with Japan pretty soon if you allow this to continue with North Korea,”(私は、日本は戦士国家であると中国や他の国々にも言っている。つまり、この意味は、中国が、北朝鮮の核開発の継続を許すなら、中国はすぐに日本との間に大きな問題を持つことになるだろう)と表明した。
 十一月五日にアメリカのトランプ大統領が訪日し、安倍総理と首脳会談を行い、その中で、北朝鮮問題が大きな比重を占めていることが報じられている。
 これらの発言に関して政府の見解を確認したいので、以下質問する。
一 日本の同盟国であるアメリカの大統領が日本のことをwarrior nationとアメリカの有力メディアで語ることで、世界的な反響が生じるものである。日本がwarrior nationであることは、首脳間で合意された日本政府の基本的な外交方針であると考えてよいか。見解を示されたい。
二 政府はwarrior nationとはどのようなものと認識しているのか。
三 トランプ政権下の日米間の外交文書などで、日本を指すものとしてwarrior nationなる言葉が用いられたことはあるか。
四 政府は、トランプ大統領のこれらの発言をどのように理解しているのか。見解を示されたい。
五 中国が北朝鮮問題に対処しなければ、Japan could take matters into its own handsであると日本政府はアメリカ政府と確認しているのか。見解を示されたい。
六 政府は、Japan could take matters into its own handsは、どういう意味と理解しているのか。
七 六に関連して、own handsとは、北朝鮮のthreat(脅威)というような北朝鮮が具体的な武力行使を日本に対して行わないとしても、自衛権の行使が行われるという意味か。見解を示されたい。
八 トランプ大統領のいうa big problem with Japan pretty soonは日本の核兵器保有を示唆しているとも受け取られかねないが、政府の見解を示されたい。
九 北朝鮮の脅威が高まり、中国がそれに十分対処しないとしても、日本が非核三原則という基本政策を変更することはせず、自ら核抑止力を保有することはないという理解でよいか。

 右質問する。

 

 質問が9点にわたっていますが、タイトル以上の意味がない質問ですね。以下、政府答弁書を転載します。なお、安倍総理が外遊中だったため、麻生副総理が代理で署名しています。

衆議院議員逢坂誠二君提出戦士の国家日本の意味に関する質問に対する答弁書

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b195018.pdf/$File/b195018.pdf

一、二及び四から八までについて

 御指摘の米国政府要人の発言の逐一について政府としてお答えすることは差し控えたい。

三について

 お尋ねの「日米間の外交文書など」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

九について

 政府としては、今後とも非核三原則を堅持する所存である。

 

 7点を一行で答える束ねっぷりといい、「これぞ木鼻答弁」と言いたくなる、いい答えですね。翻訳すると、だいたいこんな感じでしょう。

米大統領の発言とか、日本政府の知ったことかよ」

「外交文書などってなんだよ、質問が意味不明」

「はいはい非核三原則は維持しますよ」

 「国民の選良」と「秀才」のやりとりとは思えないところがありますが、まだまだ珍質問主意書は大量に生産されていますので、引き続き紹介していきたいと思います。