国会「好・珍質問主意書」

本ブログは、衆参両院に提出された質問主意書と答弁書の中から、「これは」というものを、独断と偏見で選び、面白がる目的で設立しました。

「 選挙期間中の情勢調査の公表記事に関する質問主意書」立民・初鹿明博君(衆)

 質問主意書には、様々な種類があると思います。ざっと分類すると、こんな感じではないでしょうか。

1.議員がニュースを見て思ったことを内閣へリプライする「クソリプ質問」

2.議員が「そういや、これってどれくらいあるの?」と思いついたことを内閣へ問い合わせる「豆知識型質問」

3.議員が地元で受けた陳情を内閣へたらいまわしする「陳情たらいまわし質問」

4.「UFOがきたらどうするの?」のようなネタ質問

5.意味不明質問

 

 今回は、立憲民主党所属の初鹿明博代議士によります、「選挙の公平性を損なう恐れが大きくある報道については、報道の自由に配慮しつつも、禁止すべき」という、意味不明質問をご紹介します。

選挙期間中の情勢調査の公表記事に関する質問主意書

 

 近年、各種選挙において、告示、公示後の選挙運動期間中に、報道各社が全体的な傾向のみならず、選挙区ごとの情勢調査の結果を公表する記事を報じることが広く行われています。
 このような報道は、優勢だと報じられた候補者に票が集中することを誘発したり、劣勢と報じられた候補者については投票しても無駄だと有権者が判断するなど、有権者投票行動に何らかの影響を及ぼす恐れがあり、選挙の公平性を著しく害していると考えます。
 公職選挙法第百三十八条の三には「何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数若しくは公職に就くべき順位)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない」との規定があります。
 一方、公職選挙法逐条解説によると、「公職に就くべき者を予想する人気投票」に類似するものとして、新聞社等の行う世論調査があるが、たとえ名目は世論調査であっても、その調査方式が投票の方法によるものであれば、その経過又は結果を公表することは本条違反となる。しかし、調査員が被調査者に面接したり、架電して口頭回答を得るような方法で調査をした場合は、ここにいう「人気投票」には当たらない、としています。
 しかし、近年の選挙結果を見ると、選挙期間中に、個々の選挙区の情勢記事を報じることによって、有権者投票行動が影響を受けた結果になっていると考えられるとともに、投票率の低下を招いていると考えられます。
 以上を踏まえ、報道の自由は保障されなければならないものではありながらも、選挙の公平性を損なう恐れが大きくある上記報道については、報道の自由に配慮しつつも、禁止すべきだと考えますが、政府の見解を伺います。

 右質問する。

 たしかに選挙期間中の情勢報道は、確実に有権者投票行動に影響するので、言いたいことは分からないでもないのですが、「投票行動に影響しない選挙報道」って無価値極まるニュースだとも思うんですよね。何の参考にもなっていないじゃないかと。

 それはそうとして、政府答弁。

衆議院議員初鹿明博君提出選挙期間中の情勢調査の公表記事に関する質問に対する答弁書


 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百四十八条第一項においては、新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由について規定されており、また、同法第百五十一条の三においては、選挙放送の番組編集の自由について規定されているところであり、報道機関は、これらの規定を踏まえて各選挙における報道を自らの判断により行っているものと考えている。
 お尋ねの「報道の自由に配慮しつつも、禁止すべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、同法第百三十八条の三に規定されている人気投票の公表の禁止のほかに新たに制限を設けることについては、報道の自由との関係を含め、必要があれば各党各会派において十分に議論していただくべきものと認識している。

 

「いずれにせよ」部分で、「禁止するかどうかは政府じゃなくて、お前ら国会議員が決めること、お前の仕事だから」と、ビシッと言っているのがいいですね。言わずにはいられなかったのでしょう。