国会「好・珍質問主意書」

本ブログは、衆参両院に提出された質問主意書と答弁書の中から、「これは」というものを、独断と偏見で選び、面白がる目的で設立しました。

「大学入試センター試験の「ムーミン」に関する設問に関する質問主意書」立民・初鹿明博(衆)

「それ聞いてどうするの?」

「自己完結してない?」

「ちょっと待って、それクソリプじゃない?」

「内閣(官庁)はあなたの友達じゃないよ?」

 本国会でも、こう言いたくなるクソリプ質問主意書が数多く提出されています。なかでもコンスタントにクソリプ質問を提出することで定評(?)のある、立憲民主党初鹿明博代議士(東京16区)。

 今回は、「大学入試センター試験で、ムーミンに関する設問があったが、おかしいのでは」という、ツイッタラーなみの質問を提出しています。質問自体は死ぬほどどうでもいいですが、それでも「お仕事」として答弁書を作らされる役人がいるというのが、質問主意書答弁書の面白いところですね。右紹介する。

 

大学入試センター試験の「ムーミン」に関する設問に関する質問主意書

 大学入試センター試験の「地理B」でアニメ「ムーミン」と「小さなバイキング ビッケ」の画像を示し、舞台となった国を問う設問が出題されたことが報じられ、回答の根拠があるのかが話題となっています。
 この問いについて新聞報道によると、独立行政法人大学入試センターは「知識・思考力を問う設問として支障はなかった」という見解を示しています。
 まず、検定を通った高等学校の地理の教科書で「ムーミン」「小さなバイキング ビッケ」並びにその作者について記載のある教科書はあるのか伺います。
 教科書に全く記載がない場合、アニメの舞台がどこなのか、作者の出身地がどこなのかなどは大学入学に必要な知識だとは考えられません。受験生の年代を考えても両作品ともにその世代に馴染みの深い作品ではなく、作品の存在自体を知らない受験生もいたと考えられます。
 また、問題を作成した独立行政法人大学入試センターは、言語について「教科書で取り上げられている言語区分の知識に基づき判断できる」と説明していますが、現在の高等学校地理Bの教科書には表や地図に語族名が記載されているものはあるものの、フィンランド語がウラル語族ノルウェー語がスウェーデン語と同じインド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派に属するという記述はありません。
 そもそも、大学入試センター試験は、受験生の高等学校における基礎的な学習の達成度を判定することが目的であることを考えると、教科書に記載が全くない知識を基にした問いは大学入試問題としては相応しくないと考えます。
 独立行政法人大学入試センターのホームページには、「大学入試センター試験の果たす役割」の第一番目に「難問奇問を排除した、良質な問題の確保」を掲げ、「昭和五十三年度以前は、高等学校教育の程度や範囲を超えた難問奇問の出題が少なくありませんでしたが、共通第一次学力試験や大学入試センター試験の導入により、難問奇問を排除した良質な問題が確保されるようになり、現在、高等学校等の関係者からも高い評価を受けています。」と記載しているように「難問奇問」を排除することを前面に打ち出していますが、この記述とも矛盾を感じます。
 基礎的な学習達成度を判定する大学入試センター試験で、教科書に全く記載のない知識を必要とする問題を出すことは認められると考えているのか、政府の見解を伺います。

 右質問する。

  全体的に「そうですか」という感じですが、一番最後が少し気になります。

 現在使用されている高等学校の地理歴史科地理A及び地理Bの教科用図書であって御指摘の「「ムーミン」「小さなバイキングビッケ」並びにその作者について記載のある」ものは存在しない。
 また、一般論としては、大学入試センター試験の試験問題は高等学校学習指導要領(平成二十一年文部科学省告示第三十四号)に準拠した適正なものでなければならないが、問題において引用される資料や解答の内容は、いずれもそれ自体が高等学校の教科用図書に掲載されていなければならないというものではないと考えている。

  大分前の話になりますが、高校生の頃「山川の教科書と用語集以外からは出題されない」と聞いたことがあります。どうやら、とくにそんな縛りはなかったようです。

「歴史教科はセンター満点」という強迫観念を抱いている受験生にとっては発狂ものの答弁ですが、まあ、実際どうでもいいし満点取らなくても大丈夫だと思います。

 とりあえず、質問主意書に「ムーミン」がデビューするとは思いませんでした。