国会「好・珍質問主意書」

本ブログは、衆参両院に提出された質問主意書と答弁書の中から、「これは」というものを、独断と偏見で選び、面白がる目的で設立しました。

「マスクの買い占め・転売行為に対し、物価統制令、国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法等を活用することに関する質問主意書」N国・浜田聡君(参)

 私個人として最も好きな我が国の現行法は、物価統制令(昭和21年勅令第118号)です。

 支那事変(本ブログにおいて所謂「日中戦争」呼称は昭和12年9月2日閣議決定「事変呼称ニ関スル件」に準拠する)中に制定された価格等統制令にかわって占領下に制定された所謂「ポツダム勅令」ですが、いずれにしても大日本帝国憲法下に制定された「勅令」なので、違反は即ち「勅令違反」となるという「一度でいいから言ってみたい」ワードであることと、「公衆浴場の料金は統制価格」と思うと、なんとなくニヤけてしまうことが推しポイントです。

 また、完全に余談ですが、昭和39年公開「モスラ対ゴジラ」には、伊勢湾に漂着したモスラの卵を興行用に買い取った主が、買取価格が半端だと指摘されて「馬鹿言っちゃいかん、これは統制価格だよ、鶏卵一つの公定価格が何円……」と答える掛け合いがあり、「この頃まだ食料品にも適用されていたのか」と驚いたりもします。

 さて、本題。本ブログで質問主意書を紹介するのは「中核派・前進チャンネル」質問に続いて早くも2度目、NHKから国民を守る党の浜田聡参議院議員(全国比例区)より、「マスクの買い占め・転売行為に対し、物価統制令、国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法等を活用することに関する質問主意書が提出されました。よく調べましたね。

 参議院質問主意書PDFはテキスト化されておらず、手打ちは手間ですし、質問内容は題のとおりなので、本文はリンク先をご参照ください。右紹介する。

マスクの買い占め・転売行為に対し、物価統制令、国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法等を活用することに関する質問主意書:参議院

 さて、気になる答弁ですが、ちゃんと詳細に答えています。

一について
 インターネットを用いたマスクの転売事例が散見されているものの、生活関連物資等の買い占め及び売り惜しみに対する緊急措置に関する法律(昭和四十八年法律第四十八号)第二条第一項に規定する事態とまでは認められない現段階においては、同項の規定によりマスクを特別の調査を要する物資として指定する状況ではないと考えている。また、現在の全般的な物価動向からみて、国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)第三条第一項に規定する事態とまでは認められない現段階においては、同項の規定によりマスクを特に価格の安定を図るべき物資として指定する状況ではないと考えている。(以下略)

 「インターネットを用いたマスクの転売事例が散見されているものの」と、「仕事しています」アピールをしつつも、国民生活安定緊急措置法や買い占め防止法を適用するほどではないと判断しているとのこと。

「以下略」として手打ちを端折った部分では、「中国からのマスクの輸入が滞っているので増産要請や、あれこれ仕事をしている」とアピールしています。コロナ関係は木鼻をやるとさすがに怒られると思っているのか、仕事している感を出そうとしているのか、全体的に「聞かれてもいないことも答える」スタイルになっているように見受けられます。まあ、やってくれたほうがそりゃいいので、文句はありませんが。

 続いて、この質問のキモの物価統制令への答弁

 二について
 お尋ねについては、個別の事案に即して判断されるべきものと考えており、一概にお答えすることは困難である。

 うーん、先程の経産省が作ったと思われる「仕事してまっせ」アピールとは打って変わった、適用するとも言わないが、適用できる可能性も示す、「THE警察庁答弁」ですね。

 これは私の「偏見による感想」ですが、おそらく暴力団極左暴力集団の構成員がマスクを転売した場合、物価統制令違反の摘発例が新たにできて面白いのではと思います。私なら、「マスクを不当に高い価格で販売したとして、警視庁公安部は◯月◯日、〇〇派活動家のダレガシを物価統制令違反の疑いで逮捕した」というニュースを肴に日本酒で言えば5合くらい酒が飲めます。

 そういえば、国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法、物価統制令の主務官庁はいずれも経産省だと思いますが、この質問主意書では、質問項目を「国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法」が「一」、「物価統制令」は「二」とし、「二」では平成年間にダフ屋が「司法警察職員」によって摘発された例をひいて「司法警察職員は(略)摘発可能か」と、間接的に警察庁をご指名しています。

  もし仮に、意図的に質問項目を答弁して欲しい官庁別に分けているとしたら、ちゃんと「作法」を理解した、ハイレベルな質問主意書ということになるのでは。

 かつ、例の引き方が「京都府警」や「警察官」のような一般に広く浸透しており、かつ法律・行政上も「正しい」用語ではなく、「司法警察職員」という、この表現だと他に海上保安官とかも入ってしまうから、質問対象を明らかにするのなら「警察官」のほうがいいような「お硬い」法律用語なのは、「慣れていないけれども、ちゃんと勉強している」という印象を受けました。

 正直なところN国については、公職の候補者から「あれなんですか?」とN国の地方選挙候補者について尋ねられた際、「ああ、馬鹿です」と答えた程度の評価でしたが、浜田聡参議院議員は、好質問メーカーとして期待できます。本ブログは、浜田聡参議院議員を応援します。