国会「好・珍質問主意書」

本ブログは、衆参両院に提出された質問主意書と答弁書の中から、「これは」というものを、独断と偏見で選び、面白がる目的で設立しました。

「安倍総理らのいわゆるご飯論法による国会答弁についての認識に関する質問主意書」立民・小西洋之君(参)

 第201回通常国会では、新型コロナウイルス関連の質問主意書が多く、「キャッチーなことを質問している」といえばそうですが、「まあ聞くよなあ」という感じなので、「尖った」質問は一部限られた議員以外から、あまり出なかった印象です。

 さて、珍質問職人の一人、立憲民主党小西洋之参議院議員千葉県選挙区)は第201回通常国会も例によって会期末に質問主意書を「役人へ期末課題をプレゼント」なノリで30本濫発しましたが、なかでも「珍質問」だったのはこちら、「安倍総理らのいわゆるご飯論法による国会答弁についての認識に関する質問主意書」。

 ちなみに「ご飯論法」とは、wikipedia(令和2年7月22日午前1時30分確認)によると次のとおりです。

 2018年、法政大学教授の上西充子のTwitterへの投稿がネーミングのきっかけになり、国会審議でも引用された。主に安倍晋三総理大臣ら自民党関係者が国会質疑で追及をかわすために論点をずらしたり、ごまかそうとするのを揶揄したり皮肉ったりする表現としてメディアなどでも頻繁に用いられるようになり、 2018年の『現代用語の基礎知識』選 2018ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10にも選出された。

 以上。この論法自体はあまり目新しい気がしませんが、案外新しい言葉ですね。なぜ「ご飯論法」なのかは、小西議員が質問主意書中、説明してくれています。以下、紹介する。(太字は筆者による)

 

質問主意書:参議院

安倍総理らのいわゆるご飯論法による国会答弁についての認識に関する質問主意書

一 安倍総理及び政府は、第二次安倍政権における安倍総理ら閣僚が国会答弁においていわゆる「ご飯論法」を講じているとの批判を受けていることを承知しているか。

二 国会答弁におけるいわゆる「ご飯論法」について、政府の認識を示されたい。

三 ご飯論法とは、野党議員の質問に真正面から答えず意図的に論点をずらして中身のある答弁を行うことを回避する(答弁拒否する)という政府答弁において講じられる論法であると承知している。
 すなわち、「朝ご飯は食べたか」という質問を受けた際、「ご飯」を故意に狭い意味にとらえ、パンは食べたにもかかわらず「ご飯(白米)は食べていない」と答えるように、質問側の意図をあえて曲解し論点をずらし回答をはぐらかす手法であるなどとインターネット上でも紹介されているところである。
 政府として、安倍総理ら閣僚がこうしたご飯論法を講じた国会答弁を行っているとの認識にあるか。

四 私はかつて総務省に勤務し、いわゆる課長補佐職で退官するまで国会答弁の作成業務に多々従事したところであるが、第二次安倍政権以前の政府において慣行的にご飯論法を講じた国会答弁を行うような総理や閣僚は一切存在せず、また、そのような国会答弁が省庁において作成されることもなかったと認識している。
 政府は、安倍総理らを先頭にしたご飯論法の多用によって国会審議を妨害し、議院内閣制の下の国会による行政監視を妨害し、ひいては主権者国民への責任を裏切る行為を犯しているとの認識にあるか。政府の見解を示されたい。

  以上、質問主意書本文でした。

 『「朝ご飯は食べたか」という質問を受けた際、「ご飯」を故意に狭い意味にとらえ、パンは食べたにもかかわらず「ご飯(白米)は食べていない」と答えるように、質問側の意図をあえて曲解し論点をずらし回答をはぐらかす手法』との説明は明快でわかりやすいですが、惜しむらくは、この説明がないと意味がわからないので、疑惑のデパート疑惑の総合商社」ほどのキレはないかなと感じます。

 小西議員が旧郵政省・総務省にて奉職していたことはよく知られており、答弁書作成にも関わっていたというのも「そうだろうな」というところですが、それと同時に、「ならこんな、まともに答弁書の作りようのない質問を会期末に大量提出するなよ」と思っているのも、私だけではないことと思います。

 答弁書はこちら。

答弁書:参議院

一から四までについて

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「ご飯論法」について国会審議において取り上げられたことは承知している。いずれにしても、政府としては、国会審議において真摯に説明することに努めており、「質問に真正面から答えず意図的に論点をずらして中身のある答弁を行うことを回避する」及び「国会審議を妨害し、議院内閣制の下の国会による行政監視を妨害し、ひいては主権者国民への責任を裏切る行為を犯している」との御指摘は当たらないものと考えている。

 以上。「真面目にやってないだろ」と質問したところで「真面目にやってますう」としか答弁できないのは分かりきっている、「クソリプ質問」の一種でした。

ご飯論法」については「承知している」ことになっていますが、「国会審議において取り上げられた」のですから、当然といえば当然ですね。ということは、定義はともかくとして、語句については国会質問で発言すれば「承知している」ことになるわけで、ここは「疑惑の総合商社」を超える語彙をぜひとも野党議員の皆様に産み出していただき、答弁書閣議決定という形で後世に残していただければと思います。